Austin Healey "Sebring" Sprite （GUNZE 1/24）製作編【続行中】
（ボディはもう少しツヤを出したほうがいいのかな？ロールバーは未塗装だけど今のサフに近い色にしよう。）
43年振りのプラモ製作、かつ人生初の飛行機プラモ（5キット）の製作を終え、ここからカーモデルの連作をスタートします。
1作めはグンゼ産業（現GSIクレオス）の「オースチン・ヒーレー・スプライト・Mk1」、 私が社会人になった80年台の半ばに発売されたキットようです。
このクルマは「カニ目」というニックネームで呼ばれることで有名ですよね。
（アメリカでは"Bug eye／虫の目"、イギリスではFrog eye／カエルの目･･･どこも似たようなもんです。）
私は「軽く小さい」クルマが大好きなのですが、このクルマはいわゆる"British Light Weight SportCar"の代表選手の一つです。
私がかって住んでいたマンションの近所に、このクルマをクラブマンレーサー風に仕立てて走るオジサンがいましたが、 なかなかシックでシャレた雰囲気がありました。
戻って、このキットはスタンダード版とハイテック版の2つが存在するようですが、私が作るのはスタンダード版の方です。 ハイテック版についてはココに書いてあるとおり、 まともに作れない人続出!?かどうかわかりませんが、難しいキットだったようですね。
私が気になったのは、同じサイトの画像のキャプションにあるとおり、 「似ていない」ということに尽きます。 実車は何ともファニーで丸っこいラインのボディで、BOXアートもそこを表現できていると思いますが、 キットのボディは首をかしげる造形だらけです。 最初はサンデーレーサー風に組み立てることを考えていましたが、キットのボディを眺めているうちに、 いっそ「Sebring Sprite／セブリング・スプライト」にしよう！と考えが変わったのです。
セブリング・スプライトは、スプライトMk1のレース仕様で1959年のセブリング12時間レースでクラス優勝したのを手始めに、 その後も改良され続け、セブリングで活躍し続けたほか、プライベーターにも販売され各地のレースで活躍したクルマです。 いまや現存数も少なくレプリカも作られていますが、本物はかなり高額なことでしょう。
（「カニ目」から「セブリング・スプライト」への改修イメージ：左は実車ベース、右はキットベース）
上の画像は、PCで描いたアイデアスケッチみたいなものです。
本来のセブリング・スプライトはクローズドボディなのですが、
今の私にはオープンボディをクローズドボディに改造するスキルはありません。
（ケミカルウッドで型をつくり、バキュームフォームで造形するなんてことも考えましたが、ツールもなく諦めました。）
そこで、画像のとおりオープンボディで進めます。
実現には「パテを盛って、削って、また盛って」の繰り返しとなりますが、いったん形になった時点でこのページを更新する予定です。
（3月6日）
ボディの整形スタート
（淡い緑色のパテは、「タミヤのエポキシパテ高密度タイプ」、フェンダー付近の薄黄色っぽいのはラッカーパテ「クレオスのMr.ホワイトパテR」）
先ず最初に考えたのはヘッドライトをどうするか？ということですが、 最初はパテを盛った後にランプを埋め込むための半球型の大穴を削り開けることを考えていましたが、 私は（次に製作予定の）タミヤ「ロータス セブン」を3つ持っています。 １つ目の現行キットの他、２つ目はエッチングパーツの無い初期のキットで、予備としてヤフオクで安く買ったもので、 ３つ目はJOKERのトランスキット「ロータス22」を買った時に親切にも付いてきたものです。
そして運が良いことに、セブンのヘッドライトはフェンダーの上部に半球型のライトケースが独立して取り付けられるという現在の自動車にはまず見られなくなったスタイルをしています。「これは使えるかも！？」と思ってセブンのライトカバーをスプライトのフロントフェンダーにひっつき虫で仮留めしたところ、フェンダーが邪魔して大きく前に突き出るもののサイズはピッタリです。
これで作業がだいぶ楽になるとは思ったものの、工程としては、
1.ヘッドライトの窪みをパテ埋め整形
2.フロントフェンダー裏側をパテで裏打ち
3.フェンダー下部の整形
（内側にパテを盛り、外側を削る）
4.フェンダー上部の整形
（ライトカバーの取り付け位置を削る）
5.上部フェンダーラインのパテ盛り
（左右のライトをシンメトリックに！）
6.後部フェンダー内側の整形
（窪みのパテ盛り）
7.サイドシルのパテ盛り整形
（ドアパネルから垂直に）
8.パネルラインのパテ埋め
（あまりにダルいので）
9.ラッカーパテで全体を平滑に
10.パネルラインのスジ彫り
上記のように結構あります。
その他テールランプ取付部上の不自然にエッジの立ったフェンダーラインの修正なども必要ですが、 現在は８と９の間の工程といったところです。 この中で特に気を使ったのは、何と行ってもここが左右対称になっていないとお話にならない４のフェンダーラインの整形です。
今まで飛行機プラモの製作の中でもエポキシパテ（たまたま家にあったHoltsの自動車用ねんどパテ）は使っていたのですが、 それは「台座」替わりだったり「接着」の補強だったりで「整形」目的での使用はありませんでした。
そして初めて使ったタミヤのエポキシパテは扱いやすい粘度なのですが早めに硬化していくのでエナメル溶剤を少し混ぜて柔らかめにしながらの作業でした。
（もはや「カニ目」の面影は消え去った、と思う。）
作業の結果は、実車に対してヘッドライトの位置がやや高めになり、フェンダーラインがほぼ水平になって、 なんだかサンビーム・アルパインっぽいラインですが、私は結構気に入っています。
ここまでのところは、今まで飛行機プラモを作る上での「壊さないように、正確に」という神経の使い方に比べたら随分とラクなのは間違いのないところです。
（ラジエターグリルを作って取り付けるか、このままにするか？ナンバープレート用の窪みは実車よりひと周り大きいけどどうしよう？･･･）
このあとサーフェイサーを吹いて車体色を塗装し、次の工程のタイミングを測って改めて更新します。
（3月18日）
ボディ整形の続きとパーツの製作
（サフを吹く直前のボディ。黄色のパテはタミヤのポリエステルパテ、初めて使ったがコレはベンリ！）
オリジナルのボディで気に入らなかったことのひとつがパネルラインの「ダルさ」です。 まったくエッジが利いてなく、オモチャ感丸出しと言っても言いすぎではない気がしました。
最初はエポキシパテで埋めたラインをチゼルを使って掘ってみたものの、掘ったラインの縁が崩れてしまうことが多く、 エポキシパテの硬度の限界を感じてポリパテを使ってみることにしました。
結果は大正解。もう一つのポイントは「エッチングソー」タミヤの精密ノコギリを使ったことです。 チゼルで曲線を掘っていくには、曲線状に切ったプラ版を当てながら慎重に行うのですが、 ある程度溝が出来た時点でエッチングソーに切り替えると作業がずいぶん楽になります。 （局部に「点」を当てるチゼルと、「線」で当たるノコの違いですね。これはもっと早く気付いて飛行機プラモでも使いたかった〜）
続いてパーツ類の製作。今回のキットはごくシンプル（かつパーツの接合部の設計が相当に不親切）なキットです。 パーツ構成も少ないのですが、サーキット走行を主とした仕様に変更するにあたり以下のパーツを増やしました。
（スポークのスリットはピンバイスで開けておいた）
オリジナルはなぜか寸足らずだったのでプラ版から切り出し。
これは以前真空管アンプを作った際に残った1.5mm厚のアルミ板の端材からハンドニブラーで切り出し、 ヤスリで削り出したコメ粒大の2ピースのパーツです。（最初は飲料のアルミ缶のプルトップを切り出したりしてましたが、何だかんだやり直ししながら、2コ作るのに丸1日近くかかりましたよ。）
続いてタイヤ／ホイル、オリジンパーツのサイズは気に入っていたものの、 何しろメッキのホイルキャップが装着されていることが前提にモールドされており、 今回の仕様では使いたくありません。
さらに悩んだのが取り付け方法です。上の画像のとおりタミヤとグンゼではまったく違います。 （グンゼは金属シャフト、タミヤはハブ側がダボピン、ホイル側がダボ穴みたいな構造） 最初は太めのプラ棒に金属シャフトが入る穴を開けタミヤテッチンのディッシュ裏側に接着しようと思いましたが、 試してみると、接着面の狭さからどんな接着剤を使ったとしても強度に自信が持てません。
そして最後に思い浮かんだのが、グンゼのホイルのディッシュを切り取り（画像右下）、 タミヤ側のディッシュ裏を平らにして広い面積で接着することです。 （まだやっていませんが、中心を出すことに気をつければ上手く行くはずです。）
そしてシートベルトの選定にも悩みましたが、 買ったのは（唯一手芸用のリボンっぽくない）香港のZoomOn製の黒色のベルトです。
以上が前回の更新後のらりくらりと、ひと月余りを使って作業した内容です。
そして今回サーフェイサーを吹くに当たって必ずアラが見えてくることを覚悟していましたが、 想定外にアラは少なく、唯一大きいのはフロントフェンダー内側のラインに左右とも緩やかな窪みがあったことです。 注視しなければ気が付かないレベルではありますが正直気になります。
それが終わってボディ表面の均し／面出し、そして塗装と各パーツの組み付けを行って完成させる予定です。
その途中のどこかで次回の更新を予定しています。
（4月23日）
ボディとシャーシ周りの塗装
前回書いたとおり、ボディ表面の均しを行います。何しろ初めてのことなので要領が掴めず、上手くいったと思って再度サフを吹いたところ、やはりフェンダー内側寄りのラインが凹んだままでした。しょうがないので改めてラッカーパテとポリパテを使い分けて3回めのサフを吹いたところで何とかちゃんとした面が出たような気がします。
（左は2回目、右は3回目のサフを吹く直前のボディ。）
細かいところでは微妙なアラが幾つか残っていますが、何回やってもキリがないと言うか「もうこの辺にしといてやろう」という手抜き心から修正はこれで終えることにし、本塗装に移ります。
1年少し前にエアブラシを使い出してミグの5機を塗装して以来、はじめて「ツヤ有り」塗料での吹き付け塗装です。
ボディカラーは白に決めていましたが、純白にちかい白ではなく、ややベージュ／グレーに寄ったクレオスの「グランプリホワイト」を使います。
少年時代に缶スプレーのツヤ有り塗料を買って、やり方もわからないまま吹きながら思いっきり塗料が垂れてきた1/12のF1ボディの塗装面を見て、ツヤ有り塗料の吹き付けに恐怖心を抱いたことを今でもハッキリ覚えている私なので、否が応にも緊張感が走ります。
でもそれから幾星霜、何とか大人（老人）になった私に塗料を垂らすようなヘマは起きませんでした。
その後フロントフードやドアのラインにエナメルのグレーでスミ入れし、続いて今回のキットのボディ側にある数少ないマーキング、キルスイッチとEハンドルの2つのデカールを貼ります。
このデカールは昨年行った横浜のホビーフォーラムで唯一買った、M･F･ヒロのブースで見つけたジャンクデカールの詰め合わせ（千円）の中に入っていたものを使います。（このころはまだミグ戦闘機を作っていたのですが、やや大きめの面積の黒色のデカールが欲しくて買ったカーモデルキット用デカールの詰め合わせの中にたまたま入っていたものでした、ラッキー。）
ちなみに左上の画像は、未塗装のキルスイッチやEハンドルとフュエルキャップを仮付けした状態ですが、これだけでも気分が盛り上がります。
そしてデカールを貼って乾燥させクリアコートするまでの間、シャーシ側を塗装します。
ここで一つ失敗しました。
先にグチったラバー製のドア内張り＆リアフェンダーのパーツに先ずプライマーを吹き、さらにサフを吹いた後、仕上げに何と溶きパテを吹いてしまったのです。
私の机には次に使う予定の塗料のビンをならべていますが、同じ白色のフタがついたラベルを剥がしてある塗料ビンが2つあり、ひとつはボディ塗装に使ったグランプリホワイト、もう一つは同じクレオスのホワイトパテを溶剤で溶いたものですが、ろくに確かめもせず後者を吹いてしまったのです。ちゃんと希釈したはずなのに何だか粘度が高いなあと思いながら吹き終えてハンドピースのカップを清掃する際に気付いたのですが後の祭り。
これが普通のプラパーツだったら「まあいいか」で済ました可能性が大きいのですがそこは忌々しいラバーパーツ、ちょっと力を入れると画像のとおりペリペリとクラックが走りました。 しょうがないので、溶剤を入れた瓶にしばらく放り込んで塗料を剥がしたあとプライマーからやり直してリカバリーしました。
そしてシャーシの塗装、ウラ面はオイルパンやデフケース、フュエルタンクなどを塗り分け、シートやペダルを塗装しました。
（このキットはエンジンレスでシンプルなキットですが、もう少し足回りが精密でエンジンが付いた状態でフードが「ガバッ」と開けば、より魅力的でしょうね。）
続いて上記の作業を行うしばらくの間、大いに悩んだことが有ります。
それはクリアコートをどうするかなんですが、私はツヤツヤテカテカ、だけどちょっとボッテリしたクリアコートというのを好きではありません。理由は個人の好みでしかありませんが「リアルじゃない」ということに尽きます。
巷では、いかにツヤを出すかということに多くのエネルギーが注がれているようですが、蛍光灯などの1/1の光源が大きく反射して映る1/24のボディはどうにも不自然に見えてしまうのです。（これが1/43になると今度は光源に対してボディの方が小さすぎて気にならないのが不思議です。）
そして決心したのが、クリアは「半ツヤ」にしようということです。（あんたバカじゃないのと言われそうですが気にしません！）
そしてガイアのExセミグロスクリアを3階に分けて塗装した結果がページトップの画像です。まあ及第点といったところですが、もう少し磨いてもいいのかもしれません。
残る作業は減ってきましたが、その中で課題は以下の5つ。
・前後のランプ類の細かなモール類の塗装。
・シフトレバー前の増設パネルへのスイッチ類の取り付け
・助手席側へ取り付ける消化器周りの配管
・シートベルト（4点式）の取り回し
・フロントフードの開閉ヒンジ（ダミー）の取り付け
といったところです。
そして次回はたぶん完成した姿をお見せできるのではと思っています。
（5月10日）